2025/06/13 15:14
皆様、「美星デニム」 という名のデニムをご存知でしょうか?
デニムの聖地としても有名な青木被服が本社を置く岡山県井原市には、
県内を流れる小田川の上流水のみを使用した天然資源が作り出す、美しい藍色のデニム生産が行われる地域で有名な場所です。
そして、ここ井原市内には2021年に星空保護区に認定された美星町があります。星空の世界遺産として称される星空保護区として、認定を受けました。空を見上げると視界が一番星に覆われる様な、何とも豪華な流星群のパノラマが広がる場所、美星町。
一番星が降り注いでいるかの様な無限の星空を持つ美星町は、現在「願いが叶う」場所としても、地元の市民だけでなく、訪れる観光客にその名を轟かせています。
-美星町の星空保護区認定後、新たな技法で「美星デニム」の開発をスタート-
2021年11月1日(米国アリゾナ州現地時間)、岡山県井原市美星町が、国際ダークスカイ協会(IDA)により日本で3番目の星空保護区に認定されました。町や市といった自治体単位が認定対象となる「ダークスカイ・コミュニティ」のカテゴリーではアジア初の快挙となったのです。
この「美星デニム」は岡山県出身の青木被服デザイナー 青木俊樹が開発した素材です。岡山県井原市にある美星町の星空をイメージした素材で「星空を持ち歩く」というコンセプトのもと試行錯誤を重ね、職人との幾度ものセッションの末、完成に辿り着きました。
美星町に何度も足を運び、カメラで納めた写真を洗い工場に持ち込み、職人と試作を重ね完成したデニム、それが紛れもない「美星デニム」です。
-星空を持ち歩く-程の美しい素材を実際に触れる事で、人々に感動してもらいたい。井原市美星町の星空を見に来てもらいたい。
その様な気持ちの中試作に没頭する日々と向かい合っていました。
一つ一つのパノラマの流星群を1枚のデニムに再現する「星染」という技法は
デニム職人が一枚ずつ手作業で仕上げていく極めて困難で手間暇がかかる作業です。美星町を代表する星をテーマとした美しく、永く愛されるデニムを制作したいという気持ちを込めて完成に漕ぎ着けました。
星空を眺めて思う事、祈る気持ち、夢が叶う瞬間、様々な人たちの願いや感動が
星空にはあると信じています。その願いの結晶がまさに「美星デニム」。
出来上がった瞬間は涙が出るほど嬉しかったのを覚えています。
特徴1:[星空を表現した手作業「星染」で作られる美星デニム]
井原市に流れる澄んだ上流水で染色されるデニム染色技術は世界からも評価が高く、その美しい藍色は「紺碧の空に見える藍色」と呼ばれています。流れる様な藍色と星が輝く夜空色が非常に似ている事から染め上げられた星空を象ったデニム「美星デニム」には1枚1枚特有の星空が浮かび上がる様、全て手作業の染色技法「星染」で開発されています。
通常の染色とは違い、一枚一枚絵画を描く様、流星群がデニムに表現されていく様、デニムの染職人が丁寧にブリーチと染め工程を幾度も繰り返していきます。
特徴2:[願いが叶うと言われる美星町の流星を象った美星デニム]
どの星にも輝きや特徴がある様に、それぞれの個体には10人10色の模様があります。美星デニムは、それぞれが唯一無二であり、この藍色の星空と共に願いを叶えて欲しいというメッセージが込められています。
あと書き:
私が小学生低学年くらいの時でした。
両親は日々仕事で忙しく、学校から帰ると祖母がよく私を助手席に乗せドライブに連れて行ってくれたものです。その中の私のハイライトの場所の一つが美星町です。
実家から30分程度の山道を祖母の運転する車が駆けていく道中、
私は助手席から新緑と水の音を聞きながら「美しい星と書いて、美星。ここは自然が綺麗。星が近いじゃろう?」と祖母の声を横目に、パノラマに続く大空を眺めていました。
「夜になるとどんなに綺麗だろう?」
夕刻でもはっきりと星空が見え、夜になるとまるで流星群の塊が一面を覆う様、パノラマに広がる美星の星空は、小学生の自分には驚くべきNEWSであり、何ともダイナミックで美しい場所なのだと子供心に強烈な印象を与えてくれました。
そして年月が流れた今でも、私はあの時に見た美星町の幻想的な「星空」をただ追いかけています。その星空はただ強烈というパノラマではなく、凛とした優しい光の力と共に覆われていました。
その光や願いのオーラが放たれてくる様なデニムを作りたい。
そんな動機で「美星デニム」の制作にとりかかりました。
皆様も、星空に願いを賭けた経験が一度はあるのではないでしょうか?
美星町の星空もまた、あらゆる人達の願いを大きな凛とした光の空間で受け止めてくれる場所。
是非皆様にもこの凛とした優しい感動を素材でも感じて頂きたいという想いです。
デザイナー 青木俊樹